豊かな食

 現在、日本人の生活の中には、たくさんの食が溢れています。スーパーには様々な食材が並び、全国のコンビニやファーストフード店では毎日同じものが手に入ります。また、交通網が発達した現在では、日本全国のみならず、世界中から食材を集めることができ、お金さえあれば食べられないものはないかのような世の中です。「いつでも、どこでも、なんでも」・・・・・、近代人々が求め続けた便利さのキーワードであり、「豊かさ」のひとつの形とも言える現代の「食」。しかし、本当にこれらは『豊かな食』といえるのでしょうか?

 最近、社内旅行で金沢を訪れる機会に恵まれました。旅先での食事は、その地域の土地柄を体験する貴重な時間です。金沢は日本海側ということもあり、浜松とはちがった食文化を持っています。地元の人が足を運ぶような小さな居酒屋のメニューにも、聞いたことのない料理や食材がいくつもあります。きっと、地元の人たちにとっては珍しくもないあたりまえの料理なのでしょうが、旅人の目からみれば新鮮で興味を引かれるものばかりです。実際に食べた加賀料理(金沢地域の郷土料理)の数々は、今まで食べたことのないものばかりで、目で楽しく、舌で美味しく楽しめました。

 郷土料理とは、地方独自の料理のことで、その地方ならではの食材や調味料、調理法が用いられたものです。さらに、その土地の地理的条件、気候、風土、文化などにも影響を受けて成り立っていることも郷土料理の特徴です。郷土料理を知ることで、その土地柄や住む人の人柄に触れることができます。全国で有名な特産品なども郷土料理といえますが、実際それはほんの一部で、郷土料理の幅はもっと広いはずです。

 そんな郷土料理を食べるなら、その地域の空気の中で食べるのが一番です。「今、ここにしかない、これ」を楽しむことの贅沢さ。金沢で食べた加賀料理は、旅先で出会った「豊かな食」となりました。

 もちろん、浜松地域にも郷土料理があります。ついつい目新しいものに手をのばしがちな生活のなかで、地元の郷土料理を見直してみたいものです。しかし、いざ浜松地域の郷土料理を思い浮かべようとすると、いくつかは思いつくものの、意外と難しいことに気がつきます。普段当たり前に目にし、食べているわけなので、自分の地域の郷土料理に対して鈍くなっているような気がします。これからは、「今、ここにしかない、これ」を食べる豊かさを意識し、浜松地域の郷土料理を再発見していきたいと思います。


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