本年度の4月より政令指定都市となった浜松市。これからは、単なる地方都市に留まらずに、全国でも先進的な都市としての取組みが求められる立場となった。
その浜松市において、産業政策の面で過渡期にきている。その背景にあるのは「企業の流出」である。ここ数年で、スズキ、ホンダ、ヤマハなど世界に誇る企業の流出が明らかとなり、空洞化の懸念が大きく膨らんでいる。そのため、浜松市としての産業政策も大きな方向転換を強いられ、一気に「企業誘致」へと移行している。「企業誘致」では、近隣の袋井市や湖西市、最近では磐田市などに一歩遅れをとった格好だ。
「企業誘致」は雇用面や税収面でも即効性があるものであり、産業政策の1つとして無視することはできないものである。しかし、浜松市が、「企業誘致」に偏って政策を展開していくようであれば、やや疑問を感じてしまう。それは、「企業誘致」以上に大切にしていかなくてはいけないのは「中小企業への支援」「起業の促進」であると考えるからだ。
浜松市には世界に通じる企業が多く存在するが、これらのほとんどは「浜松発」の企業である。それぞれの創業者の生誕が浜松地域であるわけではないが、この地で起業し、そして大きく成長していったことは事実である。このことは、他の地域にはない大きな財産であり、ポテンシャルである。また、現在の中小企業を見渡してもポテンシャルを持っている企業が非常に多いと感じる。この地域特性を伸ばしていく政策こそ必要であるといえるし、あまりに企業誘致に偏ると、これらの特性を壊してしまいかねない。
このように地元で生まれ、成長した企業こそが、長期的な視点でみると地域を支えていることを見つめ直し、能力を持つ中小企業や将来を夢見る起業家のバックアップを考えてもらいたい。そして、第2、第3の本田宗一郎が誕生することを願いたい。
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