このコラムを読まれる方の中で趣味を持たれている方、或いは趣味を持ちたいけれどもこれといったものが見つからないといった方がいるのではないかと思います。
私は、陶芸を趣味として始めて13年ほど経ちます。私が陶芸を始めた頃、教育テレビのNHK趣味百科で“やきものをたのしむ”というタイトルで陶芸家の辻清明氏がガイド役で土とやきものの解説、形を作るためのいくつかの手法の紹介などが放映されていて、ちょうどブームの頃だったと思います。当時この番組を見ながら自分でこんなふうに作れたら楽しいだろうと考えていたりしたものでした。また、「男の生活術“なちゅらる”」という季刊誌が発行されていて、この中にもハーブ造り、日本画、彫金、陶芸など様々な趣味の楽しさが掲載されていました。私が特に陶芸に興味を持ったのは、自分で作ったものがそのまま生活の中で使える、壊れなければ永遠に存在するということがすばらしく感じたことがひとつにあります。また、多忙な仕事から離れ気分転換を図るにも良いということがもうひとつの理由でした。
こんなふうに考えていたとき、家内が友人から近くに陶芸教室があり生徒を募集しているということを聞いてきたので早速紹介してもらうことにしました。この教室の先生は、プロの陶芸家で、後に判ったことですが備前焼の著名な陶芸家の一門の出の方でした。このような背景からでしょうか、教え方は基礎がきちんとしていて、教室の生徒の方々もすばらしい作品を多く作り、生徒の中には、県のコンクールに出品し入選した方もいるほどでした。この教室では土を積み上げて成型する“紐作り”という手法より、“ロクロ成型”という本格的な成型手法を主に指導し、「湯のみ」、「抹茶茶碗」、「徳利」などの初級の成型から始まり、上級では、3〜4kgの壺、大皿までを成型できるまでに生徒を上達させていくほどです。指導の良さから生徒の定着率が高く、当時ですでに10年近く通っている人もいて、自分で陶芸教室を始めた方、これからはじめようとする方もいました。
陶芸は、指先に土の固さ・柔らかさ、重さを感じ取りながら成型することから、集中力が大切です。仕事上のトラブルなどを引きずりながら取り組んだときは、集中できていないことから、うまく成型が出来ません。失敗作だらけになり完成品は一つとして作れないことがあります。逆に良い気分で成型に取り組んだときは良いものを作れることが多いことを経験します。この時は集中していて時間を忘れるほどです。土の水分量など季節によって微妙に変化すること、成型中に土が水分を吸いすぎること、完成させるまでの成型作業回数、ロクロの回転速度などにより、出来、不出来が明確に変ること、小物、大物の成型、どちらもそれぞれの難しさが有りとても奥の深い作業です。
趣味が高じて本を書いた方がいます。その方は、林寧彦(はやし・やすひこ)さん。本の名前は、「週末陶芸のすすめ」(1998年 晶文社刊)。この本の帯には、“仕事も趣味も全力投球!サラリーマンにして陶芸家が放つ泣き笑い奮闘記”と記されています。陶芸の奥深さは人を虜にしてしまうのです。興味のある方はご一読を。
気分を変えてみたい、将来リタイヤしたときのために趣味をもちたいと考えているあなた、思っているだけでは先へ進みません。少しでも興味が向いたものが有ったらまずやってみることです。そうすれば次への展望が開けます。
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