学んで活かすということ

 「学校で勉強したことなど社会に出て何の役にも立たない、何のために勉強しているのか分からない」と言う若者がよくいます。確かに、学校で学ぶいわゆる“読み・書き・そろばん”といった基礎的な事柄は別にして、生きていくのにどうしても必要なものは少ないかもしれません。しかし、実はそうした学習のプロセスを通じて、既に知っていることや新たに知ったことを結び合わせて、自分は何を感じ、何をすべきなのか、どのように問題を解決していくのか、というとても大切なことを若い時期に体得しているのです。それでも、提示される問題にはほとんどの場合正解があり、そういう意味では、やはり学校教育は基礎教育の域を脱し得ません。

 活用しなければ何の役にも立たないという点では、最近、書店だけでなくコンビニエンスストアにまで並んでいる、ビジネス書や自己啓発本を読むことについても、同じだと言えるかもしれません。違うのは、それらが提案している事柄は、必ずしも正解ではないということです。良い答えは人によって、また状況によって異なりますし、時と共に人も状況も変化していくからです。そして、最初から素早く情報を理解して的確な判断を下せる人などいるわけがなく、より良い判断を下せるようになるには、やはり、経験を積むしかありません。

 以前読んだとある本の中に、「成功の反対は失敗ではなく、何もしないことだ」というくだりがありました。確かにその通りだと思います。正解のない世界では、どうなるかやってみなければ分かりませんし、教訓を活かせば、失敗でさえ自分のキャリアになります。自分一人ではそのリスクを背負えない場合もあります。会社に守られている(会社はお客様に守られている)おかげで、その中である程度自分で考え、行動し、成果を得るという経験、また様々な失敗でさえ経験できるのは、本当にありがたいことだと思います。そうした体験は、本で読むことよりもずっと深く、心に刻み込まれます。組織の中で、自分には何ができるのか、何をすべきなのか、真剣に考えたいと思っている今日この頃です。


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