何のためにあなたはその仕事をしていますか

 このコラムの読者の中には、企業経営に直接携わる方、あるいは中核として仕事をされている方々が多くいるのではないでしょうか。今回は、目的を意識した手段を選択して仕事を進めているかを考えてみたいと思います。

 企業や組織などは、ビジョンや経営方針に沿った目的が有って事業活動を行い、さまざまな手段によってこの目的を達成し継続的に成長しているといえます。

 一方、仕事を進める中で、本来の目的を忘れ、一人歩きした手段に振り回されていることはないでしょうか。たとえば、朝礼という手段の目的は何でしょう。習慣?考えたことがない?この目的は、従業員がお互いに情報を共有化して一定の目標に到達するため、と考えます。朝礼は情報共有化の手段の一つに過ぎませんが、目的を捕らえていなければ単なる儀式に陥り、時間のムダとなるかもしれません。会議なども類似しているといえます。

 次の例では、本来の目的を達成する手段になりうるかを考えて見たいと思います。

 地球環境への考え方がとても熱心な企業があるとします。最近では、京都議定書によるグローバルなCO2排出量の削減の動きが活発になっています。当社の主要な事業の一つが熱処理であり、現在当社保有の熱処理炉の熱源は、重油、灯油などの化石燃料を使用し、工場からCO2を排出していることが課題となっていました。そこで工場からの直接的なCO2排出の観点から、電気式の熱処理炉に変えることが地球環境に良いという結論に達し、新たに設備を導入する方針が出たとします。この考え方は正しいでしょうか。確かに当社だけの観点からすると、削減効果が出そうです。一方、電気炉にすることは、大きな電力を必要とし、電気の使用量は増えますから、電力会社では、燃料の重油などの化石燃料を、今まで以上使用することになるといえます。

 ここで、CO2排出量削減は何のためにするのか確認してみたいと思います。本来の目的は、前述のように、“グローバルな観点でのCO2排出量削減”を狙ったものでした。エネルギー源を、重油から電気に変える事によるCO2排出量の比較検証の必要性はありますし、不要となる熱処理炉の廃棄に係わること、新たに導入する熱処理炉はエネルギーを消費して造り出すことを考慮することも必要でしょう。当社のエネルギー源を、重油から電気に変えるという手段をとることだけでは、必ずしも目的にかなった結果になるとは言えません。

 現在使用中の熱処理炉の断熱対策などの改善によって熱効率を良くし、使用燃料の削減を第一に進めることが、本来の目的にかなっているといえるのではないでしょうか。

 “何のためにその仕事をやるのか”、常に目的を問うてみる意識を持つことが大切ではないでしょうか。


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