世界観光機構(WTO、World Tourism Organization)によると、世界の旅行人口は2010年には10億人に達すると見込まれています。日本国内でも、たくさんの人が国内外をとわず旅行に出かけます。「旅」にはただ出かけることとは違った魅力があり、目的地を訪れるという以上の意味があるように思います。「自分探しの旅」、「自分を見つめなおす旅」、「癒しの旅」、「出会いの旅」などは旅行雑誌や旅行会社のパンフレットでよく見かけるフレーズです。私も時々旅行をしますが、「旅」の後にはそれ以前にはなかった自分や心機一転した自分に出会えることが少なくありません。「旅」にはそんな不思議な仕組みがあるようです。
私たちは、毎日の生活である日常の合間にそれとは違う特別な日を過ごします。それは、クリスマス、お正月、お祭りのように毎年やってくるものだったり、結婚式やお葬式のようにその日限りのものだったりと様々です。特別な日は人や文化によって違いがあるものの、誰もが必ず過ごしています。人は、毎日の生活の中で成長したり、変化したりしているけれど、それを改めて実感するのは年中行事や人生儀礼といった特別な日であることが多いように思います。例えば、成人式を迎えることで成長した自分や友人の姿に出会ったり、普段はあまり意識しない地域とのつながりを年に一度の祭りの日に再確認したりといったことが特別な日を通して起こります。
「旅」をすることは、日常と特別な日を行き来することと似ています。旅先で普段気付かなかった自分の一面に気付いたり、普段はしない考え方に出会ったりします。このような気付きや出会いを通した新鮮な発見が「旅」の魅力なのかもしれません。

さて、江戸時代、全国を自由に旅することは禁じられていましたが、お伊勢参りだけは特別に許可されていたそうです。「一生に一度はお伊勢参り」といわれたように、お伊勢参りは人生の大イベント=特別な日でした。当時の伊勢は、江戸から約2週間、大阪からでも約1週間かかったといわれています。まさに人生最大の特別なイベントが「旅」そのものだったわけですね。近々、伊勢方面へ旅行する計画があります。現代の交通手段をつかった旅ではありますが、「おかげ(感謝)参り」の異称でしられる「お伊勢参り」にちなみ、日頃見落としがちな感謝の気持ちに出会える「旅」であることを願うとともに、一緒に旅するそれぞれの人にとってよい出会いのある「旅」になればと思います。
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