著しい経済成長を続け、わが国、欧米各国の企業進出が続く中国の経済事情の一端について紹介したい。中国の総人口は13億人、このうち消費の主役を担う都市部人口は5億2千万人、特に10万ドル以上の個人資産を持つ富裕者層は5千万人いると言われている。@広東省地域(広州、樹海、東莞、深センとその周辺)、A長江デルタ地域(上海、蘇州周辺)、B渤海湾地域(北京、天津、青島、大連とその周辺)に住んでいるのが3億人、この地域の経済成長が最も著しく、富裕層を大量に輩出している。反面、日本の一人あたりのGDPは3万8千ドル程に対し、中国のそれは1千ドル程度にすぎず、所得の地域間格差、個人格差が非常に大きい国でもある。
このことから何が言えるかであるが、ひとつは、高い購買力を持つ富裕者層がいること、もうひとつは、低賃金で豊富な労働力が期待できること、である。
前者については、例えばドイツのBMWが本国以外で一番売れている国であり、広州ホンダのアコードは、日本の販売価格の倍近くするにもかかわらず生産が追いつかず、順番まちの状態が続いている。北京、上海等の大都市ではマンションの建設ラッシュが続いており、年々販売価格が上がっているが購買意欲は衰えていない。また、携帯電話の普及台数は1億台を突破している。一方、後者についていえば、中国の戸籍制度(一人一人の出身地等を記載した身分証明書を携帯し、定期的に更新する等の制度)では、出身省から別の省へ戸籍の異動・移住、特に北京、上海、広州など大都市への移住は禁止されている。このような理由から、労働力は産業の乏しい地方から前述の経済成長の著しい地域に、集団で出稼ぎに行き、一定年数働いた後出身地へ戻り、また入れ替わりに別の豊富で若い労働力がやってくるというサイクルを繰り返す。このような背景から、賃金が上昇することも無く豊富な労働力の供給を受ける仕組みが出来上がっている。

わが国、欧米各国の企業が進出する狙いは主に二つ有る。中国の巨大な市場に対して現地の需要にこたえるために現地生産する。豊富で安価な労働力を活用し、部材を本国から輸入、或いは現地調達し、加工し組立てた後、コスト力を付けた製品を本国、欧米各国へ輸出する、である。
中国にとって加工貿易となる部材輸入、完成品輸出のケースでは、関税、増値税等の税金面での優遇制度が設けられているので、中国展開する企業にとってこの制度は魅力的である。しかしこの制度を活用する場合、輸入部材、輸出製品の数量を厳しく管理する「輸入手帳」制度がある為、きちんとした生産管理体制をとることが重要な課題となる。
以上中国事情のほんの一端を紹介するに留まったが、人民元切り上げ等日本企業への影響の懸念等、対中国の課題は多くあるものの、著しい経済成長を続ける中国からは決して目を離すことが出来ないであろう。
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