ISO、GAP(JGAP)、HACCPの違いと共通点についてD

【JGAPの広がり】

 GAPは、適正農業規範Good Agricultural Practiceの頭文字で、直訳すると「いい農業のやり方」で、「適正農業規範」と訳されています。農産物生産の各段階で生産者が守るべき管理基準を定め、これを実践することです。日本では比較的新しい概念ですが、欧米では以前から開発・導入が進められており、最近では国際基準と看做されるに至っています。今後も輸入食品の危険性が指摘される情勢では、外国に食品を輸出する際に衛生管理を証明することが前提になります。また、日本の農家がGAPの整備を行うことは、輸入農産物に対抗できる安全性・品質を保持することになります。このような情勢の中、日本でもGAPへの関心が高まり、日本の生産事情に合ったJGAPの開発が始められ、安全性を証明するためにはどのような点に注意しなければならないのか、圃場から出荷までの重要管理点について整理が進み、平成17年から本格的に研修、認定・認証を開始しました。GAPの目的は、安全・高品質な農産物を消費者に届けるとともに環境負荷の低減を行うことです。そのためには、環境や経済面を含めた持続的な農業生産が行われることが必要となります。生産者がリスクを分析し、その対策と日常における検査などの結果を正確に記録し、それを第三者の認証組織が客観的基準に従って検査・認証することで衛生的な栽培管理を維持するシステムを構築します。しかし、農産物は加工食品ではありませんから、厳格な衛生管理までは要求する必要はなく、毎日の農作業の際に守っている必要最小限度のことを文書化し、流通関係者や消費者にも根拠を持って説明することが中心となります。全国共通のGAP(適正農業規範)を制定する取り組みは、消費者の信頼を獲得し、農産物流通の信頼の輪を作り上げることに繋がります。JGAPの認証を取得するには、すべての必須項目に加え、重要項目の95%を達成する必要があり、認証を獲得した農場は農産物を出荷する際に使用する包装等に専用マークを使用することができます。近年、各都道府県で実施される農産物の認証制度にもこの手法を参考にしているものが多く見られます。

各規格の比較

HACCP
ISO9001
ISO22000
JGAP
対象
食品製造工場
全ての業種
全てのフードチェーンと
その食品関連産業
農場
目的
食品に対する危害
の重点管理
品質マネジメントシステム
の構築
食品安全マネジメントシステム
の構築
衛生的な栽培管理を
維持するシステムの構築
特色
製造工程における食品への危害を分析し、危害を生じる工程を重点的に管理して安全性を確保する方法。一般衛生管理プログラムが機能していることが条件となる。
経営者の関与が強く求められるため、現場だけでなく工場全体のマネジメントシステムを構築できる。
ISO9001の良さである経営者の関与と標準化にHACCPの考えを取り入れている。
農産物生産の各段階で生産者が守るべき管理基準を定め、これを実践すること。
他の規格との比較
工場全体の衛生管理をマネジメントするシステムではなく、食品安全を中心にした技術規格的な要素が強いため、経営者の関与がそれほど求められていない。
ISO9001に基づくマネジメントシステムの実施は広範囲なため、小規模企業の多い食品業界では負担になることもある。
食品安全マネジメントシステムは、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムほど広範囲ではない。
食品工場に比べると厳格な衛生管理までは要求する必要はなく、毎日の農作業の際に守っている必要最小限度の衛生管理の文書化で足りる。



≪ ISO22000/HACCPへ戻る
≪ 前へ
次へ »