HACCP雑考C(2003/04/20)
食品工場の微生物管理

 初夏から秋を中心に、新聞等で食中毒事件は年中行事的に報道されているが、これらは実数のほんの一部に過ぎない。行政当局が把握しているだけでも、毎年ニ千数百件の事例が報告され、患者数はニ万から三万人超規模にも及んでいる。これは、食品に携わるすべての関係者の日々弛まぬ衛生管理の結果としての数字である。

 食中毒は、その殆どが有害微生物によるものであり、これらの制御はHACCPシステムの中核を形成する要素となる。加工場の清浄度区分、加熱冷却や清掃殺菌等の諸条件設定とその記録などは、有害微生物制御そのものであると言える。

 総論として、食中毒の原因菌の多くはそれ自体"弱い菌種"とされている。つまり、自然光線(紫外線)や乾燥に敏感で、抵抗力が無いために、空気中で単独に生き長らえることは稀とされている。故に、生存生殖の為に残さ等の有機物や塵埃に寄宿する性質を有しているのである。

 ところで、私見であるが、食品工場には「有害微生物を増やさない」「侵入した有害微生物を排除する」方策が欠落している施設が意外と多い気がしている。有害微生物が存在しても、寄宿先となりうる残さや塵埃等が無ければ増殖は起こり得ない。例えば、床や排水溝の勾配、機械設備本体および周辺の清掃容易性の配慮が不適切である現場では、構造的に有機物等が溜まりやすくなっている。このような場合、過日に使用した食材残さが残存していたとしても、その原因を工場管理の問題として簡単には片付けられない。HACCP手法に基づく食品工場管理を語る上で"建屋や機械設備の出来栄えは決定的な影響力を及ぼす"との認識が必要とされる所以である。

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