空調は、食品製造工場の衛生管理面で大きな役割を担っている。原料食材、半製品および完成品の品質劣化防止や微生物等による汚染防止に止まらず、水蒸気などの汚染助長要因を排除したり、加工進度ごとに設定してある差別的な空気環境を維持し続けるという側面も有している。また、蒸煮工程などでは、従業員の発汗や疲労感を少なくするためにも欠かせない仕組みであろう。
最新のHACCP対応工場を拝見すると、建屋は窓を含めて、外部とは隙間なく遮断する建材が使用されており、機密性が維持されている。出入口は、従業員用、原料(食材、包材)用、製品出荷用と明確に区分されている。また、各工程は衛生水準に応じて間仕切り(ゾーニング)されている。そして、原則的には「場内陽圧」が維持され、局部的に発生する水蒸気や温熱空気は、間をおかず屋外に排出可能な設備が施されている。
ところで、我々コンサルタントがお客様(食品工場)を訪問した際には、必ず稼動中の工程確認を実施している。空調整備類があれば、それらが初期の目的を果し続けているか否かは重要なチェックポイントになっている。加工場内に蒸煮設備があり、空気によどみがあれば、必ずと言っていいほど付近に結露や黒カビの痕跡が発見される。また、排水溝に関し、空圧の配慮や金網がなければ、多くの場合、屋外排出水と入れ替わる格好で、外気が飛翔力の弱い小昆虫を伴って侵入しているのである。
製品や設備レイアウトが日々刻々と変化する経営環境下で、工場内の隅々まで空調を把握し、完璧に制御設計し、それを管理することは甚だ困難に違いない。しかし、空調を考える場合、論理的技術的アプローチ以外にも、日常の何気ない加工現場にそのポイントが見えてくることも事実である。
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